Tuesday, July 15, 2014

スマートグリッド

たまには徒然なるままに書いてみようかな。

「スマートグリッド」っていう言葉、格好良くないですか?
Wikipediaによるとスマートグリッドとは「スマートメーター等の通信・制御機能を活用して停電防止や送電調整のほか多様な電力契約の実現や人件費削減等を可能にした電力網」。「発電設備から末端の電力機器までを、デジタル・コンピュータ内蔵の高機能な電力制御装置同士をネットワークで結び合わせ、従来型の中央制御では達成できない自律分散的な制御方式を取り入れることで、電力網内での需給バランスの最適化調整と事故や過負荷などに対する抗堪性を高め、それらに要するコストを最小に抑えること」が目的。スマートな機器を複数箇所に設置して全体のバランスを調整することで格好良く無駄を減らしている。「スマートグリッド」をイメージ検索するとその仕組みがインフォグラフィックスで分かりやすく、格好良く説明されています。

言われるまでもなく、インターネットの普及によって、これまで不均衡に配分されていた情報などが一気に拡散されただけでなく、中央から地方の一部分に向けた一方的な配信方法が双方向になり、世界のどんな場所からもあらゆる場所に向けて情報が双方向に発信できるようになりました。情報は電力ではないのでスマートに制御される必要はない(無慈悲に制御される例もある)ですが、インターネットをツールとして情報以外のモノをスマートに配分することで世の中を便利にしていくサービスが増えてきたし、その配分という行為または配分されるモノ自体から対価を得るのではなく、基本的な利便性はコストがなく誰でも享受でき、それ以上を求める場合のみ有料になるという格好いい仕組みが好まれているというのを見ると、ようやくテクノロジーが人類にとって利便性よりも高い次元で役に立ってきたなと感じてます。

3年前にドイツとスペインでデザインの講演をしたときのこと。東日本大震災の翌月ということもあり、放射能や津波、電力のない生活についてすごく質問されました。(そこで話をしながら思わずボロボロと泣いてしまったんですが)小さい女の子を残して他の家族全員津波にのまれてしまうというある家族のストーリーで、お父さんの携帯電話だけが遺品として見つかる、という話をしました。コンセプトデザイナーとして、その携帯電話にどんな機能がついていたら残された女の子のためになるかずっと考えているけど答えが出ない。SF映画みたいに3Dホログラムで微笑ましい家族の映像がたくさん見れればいいだろうか、または自分の声に反応して家族が声で応答すればいいだろうか。ずっと考えてます、何かいい考えがあれば教えてくださいと伝えました。講演後、スペイン人の女性が近づいてきて、そのままいきなり抱きつかれてびっくりしたんですが、泣きながら「その携帯の機能も、携帯さえも何もいらない。そのままでいい。テクノロジーなんかなくても(むしろない方が)人間らしく生きられる」と言ってきたんです。どんな場面においてもモノや機会を与えることで欲求を満たせ、便利にさせることこそがサービスだと思っていた自分はそこで少し変わりました。モノに囲まれて不自由なく生きてはいるものの、世界中の人々が「知」でつながる時代において、もっと大事なモノ・コトを伝えあい、うまく配分することで、緩やかに、ボトムアップで、本来あるべき「テクノロジーとの共生」の世界を創れるのではないか、と感じるようになりました。

今持っているアイデアのネタバレになるので詳しいことは控えますが、このスマートグリッドのコンセプトで、世界を「下から」変えられると(特にこの数週間は)考えています。そんなざっくりしたアイデアからモノを形にしていくやり方って時間もかかる(自分の場合特に)し、論理的にモノを考えられないから最初はぼんやりしたものをわけもわからず一生懸命考える。結局のところ、「今できること」をやらなきゃならないけど、どうせやるなら「今こうあってほしいこと」を無理にでも実現していきたいよね。どうせやるなら。やり方はスマートじゃないかもしれないけど、実現したら格好良い。